食べるものが何もないと感じた1週間目

ダイエット中、何といっても辛かったのが、糖質制限食を始めた最初の1週間だった。糖質の多い主食を食べないことに決めたが、では代りに何を食べればいいのか最初は何も分らず、これまで食べていた全ての食品が食べられないのではないかと錯覚してしまった。これは裏を返せば、それだけ日々の食生活が糖質過多に陷っていたという証明なのだが、スーパー糖質制限を開始したその日から、朝食は何とかしのいだものの、次の食事は何にしようかと途方に暮れてしまった。

仕方無く、知り合いから送られた「満腹ダイエット」から、食べられそうなメニューを作った。例えば、糖質オフのとんかつなら食べられるだろうと、パン粉の代りに高野豆腐を使い、パン粉の大きさ程度に包丁で高野豆腐を削る。こんなことは何時まで出来るだろうかとも思い、正直言って焦った。

高野豆腐のとんかつは、まずまずの昧だったが、従来のとんかつに似せて料理すると、どうしても従来のものの方が食べたくなる。

そこで意を決し、これはいけないと最初の1回で止めてしまった。

だが、とんかつを食べたいという「欲求」は定期的に湧いてくる。これをどうするか、私は考えた。まずは、当初の第一目的である糖質制限ダイエットの結果を出すまで「とんかつ禁止令」を自分に課すことにした。そして、これを達成した暁には、とんかつ屋に行って、一度食べてもいいという「条件」を付けたのである。

これを実現すれば、久し振りにとんかつが食べられる。そんな「夢」だけでいい。それで最も重要な初期の3週間は乗り切れた。

これで体重20キロ減を実現すると、すぐとんかつ屋に行きたくなると誰もが考える。実は、そうはならない。何故なら、その時点で見違える程、痩せてしまっているので、せっかく手にした「喜び」を手放したくないと思うようになるのだ。

だから、夢はまだ、しばらく取っておく。

しかし、また放っておくと、その「とんかつの夢」が不必要に膨らんでくる。こんな時には、ダムの貯水湖に貯まっだ水のように、時々放出しなくては、ダム湖自体が溢れ出る怖れがあり、糖質制限ダムも決壊しかねない。

そこで、全く意識せず、仕事が終った時などに、ごく普通のとんかつ屋に入ってみた。

この時、とんかつの名店や極上のとんかつを目指してしまうと、その味に夢中になってしまう。あくまで普通のとんかつ屋でいいのである。

この際も糖質制限を意識して、最初はキャベツ、次にとん汁、そしてとんかつの衣をはずして肉だけを食べる。こうして久し振りにとんかつを食べたが、正直余り美味しくはなかった。糖質制限食的には、それでいいのだ。とんかつというのは、それほど美味しいものではないと思ってしまえるからである。

美味しかったら、また食べたくなる。だから、せっかく食べても余り美味しくない食べ方をして、とんかつとはこんなものかと、自分から自然に遠ざけていけばいい。