衣をはがしたとんかつ

ダイエット中はダム湖に欲望は貯まる。無性にとんかつが食べたくなる時が襲ってくる。そんな時は、更なる体重減少や、検査数値を見つつ、医師流に「まあ、ええやろ」と自分で判断し、食べる順序はそのままで、衣をつけたまま二、三切れ食べ、残りは衣を取る。

こうすると「とんかつ」を殆んど食べたという気になる。私の記憶では、糖質制限1年目に、3回だけダム湖が貯まったので、衣をはがしたとんかつを食べて、放水した。

それから更に1年して、衣をつけたとんかつを、二、三切れ食べた。とんかつを食べたのはこの4回だけだ。

3年目に入った今年は、二、三切れ衣をつけて食べ、後は衣のついた肉を残した。こうして、少しずつ「とんかつ」の魅力から離れていくことで、無理なく「とんかつ好き」人間から変身することが出来たのである。

一方で、「美味しい肉のカツ」が食べたいという残党がまだ心の中に残っている。そこで最近覚えたのが、ウィーン風のとんかつ「ウィンナー・シェニッツェル」だ。これは、肉を薄く伸ばし、パン粉少しと粉チーズをまぶして、カラッと揚げる。日本風の小麦粉たっぷりのとんかつと違い、糖質量は遥かに少なく、非常に上品である。これを切って、野菜サラダの具として散りばめると、肉単品で食べるより、食事のバランスが遥かによくなる。しかも、ウィーン風カツレツにすれば、和風のとんかつ定食のご飯も不必要になる。

日本のとんかつ定食では、山盛りのキャベツに、糖質タップリの甘辛いウスターソースをたっぷりとかけ、塩辛いとん汁を飲む。その結果、白いご飯で口の中をサッパリさせたくなり、つい糖質を摂ってしまう。ならば、そのご飯を食べる機会をなくす、ウィーン風カツレツーサラダをたっぷり作って、それと豆腐の入った野菜スープなどで、新しい料理として完結させてしまえばいいのだ。

こうやって次々とかつでの「好物」を遠ざけていった。慣れとは怖しいもので、今では「とんかつ定食」を見ても、さして美味しい料理とは思えないようになった。どうせ肉を食べるなら、小麦粉の衣などつけずに、そのまま網焼きにするなど、もっと美味しい方法が沢山あるのになどと思ってしまう次第である。こうして、食生活の趣味を糖質制限を軸して、180度変えていったのである。

この場合も、一気にやるより、ゆっくり、じっくり「改革」に取り組んでいかないと、それまでの食習慣という「抵抗勢力」にどこかで巻き返されかねない。

だから、少しずつ、しかし確実に糖質制限維新の目的を達するため、日々の改革を積み重ねて行く必要がある。